【進路】診療放射線技師ってどんな仕事?【学生向け】
こんにちは!グンです!
本日は私の職業である診療放射線技師という仕事についてお話ししようと思います。
進路の1つとしてこの職業を考えている方の参考になればと思います。
進学するには志望動機を求められます。
よければ書く際の参考にもしてください。
資格について
診療放射線技師は厚生労働省が行う国家試験に受かった者が持つ国家資格を有する人が働ける職業です。
この国家試験を受けるには4年制大学、もしくは3年制の専門学校に通って放射線技師としての知識をつける必要があります。
「放射線について学ぶので物理系の大学にいけば国家試験は受けれるんじゃない?」ってわけではなく、基準がありましてその基準の中には『定められた期間、病院実習を経験していること』といった内容があります。
つまりは放射線技師の教育に特化した学校を選ぶ必要があります。
まずは検索してどんな学校があるか調べてみてください。
地方にも放射線技師育成の学校はあります。
放射線技師の仕事って?
恐らく皆さん何となく分かってはいると思います。
放射線技師は医師の指示のもと検査・治療を行うのが仕事です。
医師の指示なしに検査を勝手にやったり、検査・治療オーダーを増やすことは法律が許しません。
少しお仕事の内容を紹介しますね。
では王道のレントゲン・CT・MRIからです。
・レントゲン
基本的に何か体の異常を感じてこられた患者さんに対して、まずレントゲンの検査が行われます。撮影の内容にもよりますが比較的時間もかからず被ばく量も少ないのでまずこの検査が選ばれます。
少し難しい言い方にはなりますが、普段皆さんがiPhoneの写真と同じように2次元的にしか者を見ることができないため、情報量はCTやMRIのようにたくさんは得ることができません。
しかし、この少ない被ばくで体の異常の原因がわかるのであればそれに越したことはないでしょう。ただ骨折疑いで来られた方などにも可能な範囲で動いてもらったりすることがあるので、少し患者さんの負担となることがあります。
入院する病棟がある病院だと、移動が難しい重症患者さんはポータブル撮影というもの行います。レントゲンを撮影する機械をコンパクトにしてタイヤをつけたものです。
患者さんに検査室に来てもらうのではなく、放射線技師が患者さんの病室に行って撮影をします。患者さんの重症度に合わせた最善の検査が選ばれます。
ポータブル撮影装置
出典:放射線部(一般撮影)|立正佼成会附属佼成病院(杏林学園教育関連施設)
・CT ・MRI
CTやMRIは来た患者さんをただ撮影するだけじゃなく、病変を見つけたり、カルテや医師が出した撮影オーダーを基に造影剤(病変を見やすくする薬)の入れるスピードや撮影タイミングを変えたりもしています。
つまりは放射線の知識だけではなく解剖や病気に関する知識も求められます。
病変を見つけられるかどうかは放射線の技量にもかかってきます。
先ほどレントゲンの説明時に書いた「2次元的」についての補足ですが、下のレントゲンとCTの画像を比較してください。
2次元的と表現したのはレントゲンです。ざっくりいうならは表面側の情報が主に得られますが、脳の中身は見ることができません。
一方でCTやMRIは3次元的で病変の位置を示します。頭蓋骨の内側のどのあたりで悪いことが起きているということが理解できるので「3次元的」と表現します。
CTとMRIは何が違うの?と思うかもしれませんが、「見つけることができる病変の得意科目が異なる」と考えてください。
CTは出血などを見つけるのが得意です。MRIはその病変がどのようなもので出来ているのかを示すことができます。ざっくりすぎる説明ですが今回はここまでにしておきましょう。
レントゲン画像
MRI画像
そのため特に被ばくに敏感にならなければならない子供もCTと比べて受けやすいと思います。ただMRIの弱点は撮影時間が非常に長いことです。CTは頭の撮影だけですと合計3分ほどで終わりますが、MRIは撮影項目ごとに時間が伸びていき1つ1つが長いため患者さんには15~20分と私は説明しています。
そのため子供や認知症の患者さんなどにこの時間のかかる検査は難易度が高いのかもしれません。
今後、放射線技師になった皆さんが撮影時間の短いMRIの作成に携わっていただくことを期待しています👍笑
今まで文を読んでどう思われましたか?
被ばくの管理をするのも放射線技師の大事なお仕事です。
来た患者さんの病変をみつけることができればOKという訳ではなく、撮影時間を短くするために機械の設定を変えたり、放射線を目的の場所以外に当たらないようにするためのプロテクターをまいたり...
意外と我々は常に考え事をしながら仕事をしています。
核医学検査(PET、SPECT)
『核』って言葉が入っているので何やら怖そうな響きではありますが、この検査は『放射性医薬品』という物を体の中に直接入れて検査をします。
『放射性医薬品=放射線を発するお薬』
体にそんなの入れていいの?
って思うかもしれませんが、まずはどんな検査かをもう少し知りましょう。
この核医学検査というのは、薬がストレートに「ここになんか異常があるよ!」と教えてくれる検査です。
※例えばCTで造影剤を使って検査をした時、血流が多い場所には造影剤が血の巡りに乗って沢山集積します。でも沢山その造影剤が集まった画像だからといって異常ではないんです。
異常か正常なのかをしっかり症状や臓器から判断しないと行けません。
核医学検査は(ざっくりの説明ですが)
医師「○○という病気かもしれません。検査しましょう。A薬を使ってオーダーを出したので検査をしてください。」
技師「○○という病気にはA薬という放射性医薬品が反応するからA薬を使います。」
という流れがあり、○○という病気に特化したA薬という薬を患者の体に入れて検査となります。
放射性医薬品の種類は沢山あって、その薬が何処の異常・病変を調べるのに特化しているというのはそれぞれ異なります。
そして先程も言いましたが、この放射性医薬品は放射線を発します。つまりこの薬が病気に集まって体の外側に向けて微弱な放射線を発します。
それを検査装置がキャッチして
「ここからの放射線の信号が多いということは、ココに異常があるのかもしれない」
と技師や医師は考えるわけです。
CTやMRIなどで検査してもなかなか見つける事ができない僅かな病変でも見つける事ができる可能性がある検査です。全ての臓器が病気になったからといってすごく見た目が変わってCT、MRIで簡単に見つけられるわけではないんです。
いろんな検査があるのはそれぞれ得意分野・苦手分野があるからです。
これはSPECT装置を使った検査になります。
テクネシウムという薬が甲状腺にたくさん集まってこのような画像を得ています。
これが「異常が発生している部分にお薬が集まる」と説明していた結果になります。
核医学検査 ちょっと難しいですが理解してもらえましたか?
体にそんな放射線を発する薬を入れていいの?という部分に戻ります。
私の意見は以下の通りです。
①入れる量はごく僅かでガンを誘発するほどたくさんは使用していない。
②「病変を見つけるための大事な検査 or 少しでも被爆をしたくないから検査を受けない」これを天秤にかけたときに、あなたならどちらを選ぶ?
私なら悩む暇があるなら核医学検査をすぐに受けます。
悩んでいる時間も病気は進行しているんですから。
ここでは撮影や放射性医薬品を準備するのが放射線技師の仕事になります。
実際に体の中に入れる作業は看護師や医師が行います。
放射線治療
最近、保健のCMなどでもよく聞くと思います。
↑リニアックと呼ばれる放射線治療装置です。
ガン治療の3大巨頭である1.手術 2.化学療法 3.放射線治療の中の1つですね。
放射線治療はメスを入れない、治療中痛みを感じる事なく終わることが魅力です。
・放射線治療単体のみで終わる方
・他にオペ後の病変の残存を疑う方など、治療の仕方は患者によって様々です。
色々治療方法がありますが、誰でも好きなものを選べるというわけではなく病変や進行度に従って治療法の検討が行われます。
なので「痛いのが嫌だから放射線治療にしてください」という簡単な話ではありません。
この部門での放射線技師の仕事は
①患者が長い治療時間に耐えられるような固定具作り(患者の型取りをする)
→寝ている際に痛いところがないか
→痺れてくるところがないか
→患者が安全に治療を受けられるか
→寝方、体の位置を再現できるか
などたくさんの気をつけるべき点があります
出典:動体追尾放射線治療 | 京都大学医学部附属病院 放射線治療科
②CTを撮影する
放射線治療計画(放射線ビームを当てる方向や量を決める)をするための材料となるCTやMRIを撮影します。
③実際に治療装置の寝台に寝かせて治療を行う
治療計画のCTを撮った時と同じような寝方を再現して、体の位置や臓器の位置を再現させます。
実際に治療を行う際は装置でレントゲンやCTを撮影して全ての位置が再現できているかを確認して治療を開始します。
これがしっかりできていないと患者は予定外の場所に放射線のビームが当たることになります。
ここでは完全に放射線技師も治療をする側のスタッフです。
他の部門と違って医師任せではなく技師の技量でも治療の成果が変わってきます。責任はとても大きいです。
また放射線治療は数日や長くて1ヶ月程かかります。同じ患者と毎日のように会います。なので患者といい距離感で接する事ができる、病気になって精神的に落ち込んでいる人に温かくコミュニケーションを取れる人材が必要となります。
もちろん他の部門でも大事な事ですが、治療はこれができないと患者からの信頼がなくなりスムーズに治療が進まなくなることもあります。
物理の知識、病気に対する知識、心のケア
技師に求められる事がここはとても多いかもしれません。
私が大学受験をした際の志望動機
私は祖父を肝臓癌で亡くしたためガン治療には興味がありました。
「少しでも長く楽しく生きてほしい」という気持ちがあり、それを仕事にするにはどうしたら良いだろうと思った時に『放射線技師』という仕事に出会いました。
情けない話ですが部活ばかりしていた私には医師を目指せるほどの学力はありません。しかし、このような人間でも「人の役に立ちたい」という気持ちは他の人には負けないくらい持っています。
放射線治療という治療法を知り、放射線技師を知り、技師も患者を直す側の1人として働けるということを知りました。
そして少しでも長い時間家族と楽しく過ごして最後を迎えてほしいです。
私は「誰かの役に立てた」という達成感でこの人生の終わりを迎えられる日が来たらいいなと思っています。
このような内容を面接の際には言いました。
文章の組み立て、内容などの参考になればと思います。
注意点
放射線技師の採用募集は全国いろんな病院で出ています。
しかし、最近は『大学卒 以上の方』というボーダーラインを引いている病院もあります。特に大学病院などはそのような線引きがあって採用試験を受けたくても受けられない事があるので専門学校を検討している方はご注意ください。
最後に
いかがだったでしょうか。
ここにあげた部門以外にも心臓カテーテルなどの血管内治療と言われる部門やオペ室での業務も放射線技師にはあります。
是非、他のサイトで私が説明した以外にどんなことをしているか調べてみてください。
少しは将来の参考になりましたか?医療職というのは放射線技師に限らず見たくないものをたくさん見なければなりません。
患者もその家族も辛いですし、その現場をみる我々医療職もとても辛い思いをすることがあります。
ただ誰かがそれを背をって医療に向き合わないといけないんです。
それが医療職です。
皆さんと同じ医療の現場で会える日を楽しみにしています。